次ページ ». 病院数世界2位のアメリカが5000ちょっとであることを考えると、日本の病院が「異常なほど」と言っていいくらい多いのが、よくわかると思います。 人が最期を迎える場所は医療や社会の変化とともに変わってきました。図表1で示したとおり、1951年に亡くなった人の8割以上が自宅死でした。2016年になると、この割合は完全に逆転しており、病院で亡くなる人が8割近くを占めています。 これは先進各国の中でも突出して高い割合です。図表2で示したとおり、先進各国の中でも8割程度で推移しているのは日本だけであり、フランスは6割以下、アメリカは4割程度、福祉先進国 … 日本は人口当たりの病床数が世界で最も多い「病床大国」で、入院日数も世界で突出して長い。これは何を意味するのか。病院経営コンサルタントの渡辺さちこ氏と国際医療経済学者のアキよしかわ氏は「日本では病床を患者で埋めないと病院経営が成り立たない」という――。 病院が受け入れを避ける理由は「指定感染症」 医療の逼迫が叫ばれ、東京などで飲食店への時短要請も始まった。しかし、感染のピークはすでに過ぎ、高齢者の致死率も低下している。それでも新型コロナウイルスが特別扱いされるのは、この感染症が指定感染症の2類相当、実質的には1 All rights reserved. 日本の医療体制の特徴は、「病床数が多すぎる」という点に尽きる。人口当たりの医師数は1000人当たり2.4人と、ほぼ経済協力開発機構(oecd)の平均水準である。一方、人口当たりの病床数はoecd平均の2.8倍、在院日数は同2.1倍である。これらの事実は「日本における医療の人的密度(医 … 病院の数が多い国について、oecdが発表している2016年の結果をもとに33ヵ国のtop10のランキングを掲載しています。 (順位/病院数/国名) 1位 8,442 日本 2位 5,564 アメリカ 3位 4,474 メキシコ 4位 3,788 韓国 現在、日本の病院はいくつあるかご存知ですか? 答えは約8500。 その病院のベッド数を合計すると約160万床。中でも「一般病床」と呼ばれる急性期や亜急性期の患者さん用のベッドは約90万床あり、かつては病院が1万程あったので、昔と比べると15%位は減っていると言われています。 それでも少子高齢化で医療費が増え続けている日本では、今後さらにベッド数を抑えて患者さんを在宅で治療・復帰ができないか様ざまな施策を … 国立がん研究センターのデータ によると、がんによる死亡者数は2000年の約29.5万人から2017年は37.3万人と1.26倍に増加。がんと新たに診断された人は2000年の53.2万人から2016年は99.5万人と1.87倍に増加しています。一方、先進国の欧米では毎年がんの死亡者数は減少しています。WHOのデータでアメリカと比較すると、10万人あたりの新規患者数は、日本は2010年に266人と2000年に比べて15%増加。一方、アメリカは303人と同期間に7%減っています。死亡者数も、東京大学医学部附属病 … 日本の医療法では、都道府県知事は病院の医療内容に口を出せない。それでも公的医療機関にはそれなりに指示できるが、民間に対してはお手上げだ。しかも、日本は欧州諸国とは真逆で、8割超が民間病院。その多くがコロナ患者を受け入れないから、一部の医療機関に負担が集中している。 日本の精神病床数は、国際的に見て飛び抜けて多い。先進国・中進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の統計によると、2016年の人口1000人あたりの精神科ベッド数は、日本が2.6床でトップ。2番目のベルギーは1.4床、加盟35か国の平均は0.7床である。(OECD Health Statistics 2018) 欧米諸国 … 欧米より感染者数が極端に少ない日本で「医療崩壊」が現実味を帯びているのはなぜか。背景には、コロナ専用病床を簡単に増やせない日本の医� 日本は自殺者数が8年連続3万人を超え、交通事故による死者数をも上回る、正に「自殺大国」。何がこのような数字をもたらしたのでしょう? 自殺の理由には、心の病気、特に「うつ病」が密接に関連して … ・日本は欧米と比べると公立の医療機関よりも民間の医療機関が圧倒的に多いため、コロナ患者を受け入れることで従来の患者を失い、結果的に経営が圧迫される可能性がある民間の医療機関は、政府からお願いをされてもコロナ患者を受け入れようとはしない ・結果的に今日本では、強制は� 40歳からの勝ち組ドクター戦略…高齢化社会を支える「町医者」という選択肢【第4回】, 業界No.1金利の普通預金!年0.2%(税引前、変動金利)。あおぞら銀行BANK支店限定!, 01/14 【WEB】 投資対象として大注目!償却メリットも狙える「空き家」再生の最新事情, 01/14 【WEB】高所得者が密かに注目!いまこそ狙い目の小型航空機・ヘリコプター投資とは, 01/14 【WEB】 法人対策も相続・自社株対策も一気に解決 出口が柔軟な移転型保険の活用事例 <2021年1月版>, 01/14 【WEB】フランチャイズ投資を成功させる!事例から学ぶ投資案件の見極め方, 01/15 【WEB】一部の企業オーナーだけが実践している決算対策 「オペレーティングリース」投資の基礎講座, 01/16 【会場】限られた商品選別と出口戦略で、効果を史上最高に持っていく最新の法人向け保険活用事例<2021年1月版>, 01/16 【WEB】 『お勧めの投資信託』を買う前に知っておきたい投信販売の実態, 01/16 【WEB】税務当局は海外投資・資産の情報をどのように収集しているのか? 口座情報交換制度を踏まえた、秘匿性の高い「海外活用」の進め方, 01/20 【WEB】 出回らない特別な商品で納税資金も自社株も一気に解決 相続専用保険の活用事例<2021年1月版>, 01/20 【WEB】コロナ禍の今だから効果的な施策も多数!<2021年最新版>中小企業オーナーのための「事業承継対策」基礎講座, 01/20 【WEB】 地主の方必見! 相続税の「払い過ぎ」を回避する不動産の評価術, 01/21 【WEB】 10年200%超タイプ・元本保証タイプなど続々出現 鉄板堅実なVIP向け資産運用型保険の活用事例, 01/21 【WEB】2021年「海外不動産投資」×「国内不動産投資」 結局、どっちが良いの?<オーストラリア編>, 01/21 【会場&WEB 】米国アライアンス・バーンスタインのアドバイザーと本音で語る!不透明な市場環境下での「米国株」での資産運用とは? 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【WEB】 インターネット法務に精通した弁護士による初心者のための「仮想通貨」投資の法的リスクと対策. 病院の数が多い国ランキングtop10. ※本稿は、渡辺さちこ、アキよしかわ『医療崩壊の真実』(MdN)の一部を再編集したものです。, 新型コロナ感染拡大の中で入院の受け入れの第一線と考えられたのは感染症病床(1758床)、第二種感染症指定医療機関の351施設です。第二種感染症指定医療機関は、国、公立(自治体)、公的(日赤病院、済生会病院など)で9割が担い、民間は1割です。コロナ前の感染症病床の稼働率は2017年が3.3%、2016年が3.2%、つまり感染流行の局面にならない限り、平時では極めて低水準の稼働率です。, しかし一旦コロナが拡大すると、感染症病床は152万超の病床全体に占める割合は0.1%あまりであること、そして新型コロナは全国一律に流行するのではなく入院が必要な患者は都道府県や第二種感染症指定医療機関の地域によって大きな差があるため、「感染症病床」だけでは足らず「一般病床」での受け入れが必須となりました。, 実際、第1波のピークである5月4日は1万1935人、第2波のピークである8月10日には1万3724人のコロナ患者(これらは宿泊・自宅療養が可能であった軽症者も含む)が入院しており、感染症病床だけでは全く不足した事になります。, まず、日本の医療法でいう一般病床、療養病床、感染症病床、結核病床、精神病床全ての病床をOECD加盟国と比較すると(2018年or latest available)、人口千人当たりの病床数は日本が13.1と突出して多く、OECD加盟国平均である4.7の2.8倍です。, 図表1をご覧ください。これは人口千人当たり全ての病床数の1990年から2017年までの推移を国際比較したものです。日本を含めどの先進国も人口当たりの病床数を削減してきた一方で、日本だけ完全に我が道を突き進んでいるというか、まったく「次元」が違うことがわかります。国民皆保険制度もあり、医療提供体制も充実しているといわれることの多いドイツでも日本の6割程度です。, また、90年代初頭に唯一、日本に近い割合で病床数が存在していたのはスウェーデンだけですが、一入院包括払い(DRG/PPS:Diagnosis Related Group/Prospective Payment System)を導入するなどの取り組みで病床数を大きく減らし、諸外国と同じくらいの水準になっています。その意味では、日本は世界の中でも独自の道を歩む「病床大国」といってよいでしょう。, 先進諸外国が90年代から病床数を減らしつつ「平均寿命」や「健康寿命」を伸ばしてきたことを考えると、「病床数」の多さは「人の健康」と比例するものではないことがわかります。, それでは、急性期病床(一般病床)数はどうでしょうか。急性期病床とは、急患や重症で命に関わる治療や応急措置、手術を行うための病床です。図表2をご覧ください。人口千人当たりの「急性期病床」もやはり日本では7.79と突出して多いのです。お隣の韓国は第二位です。, OECD各国の平均は3.6なので、日本は2.2倍以上の急性期病床を保有していることになります。, このように日本は他国と比べものにならないほど急性期病床が多い、「世界一急性期病床が多い国」であることがわかります。, では、人工呼吸器やECMOを必要とするコロナ重症患者の治療体制に必要なICU病床数はどうでしょうか。図表3で示すように、日本は人口10万人当たりのICU病床数は4.3床です。諸外国の病床数のデータにはIntermediate care bedsといって、ICUと一般病棟に至るまでの間の治療を行うための病床を含めて計算が行われているため、日本でもICUに準じた機能を持つ病床としてハイケアユニット(HCU)、そして救命救急病床(ER)を含めると全体で1万7000床となり、人口10万人当たり13.5床となります(図表3ではICU、HCU、ERを総称してユニットと表記)。, HCUは「高度治療室(High Care Unit)」の略称で、ICUと一般病棟の間という位置づけです。そして救命救急病床(ER)は集中治療室への入院が必要な重症の救急患者を受け入れて高度治療を提供するところです。結果、日本のユニットはアメリカの3分の1、ドイツの半分ですが、イタリア、フランス、スペイン、イギリスを上回る病床数という事がわかります。, コロナ患者の受け入れを担う事が可能な急性期病床が日本では世界の中でも突出した数になっている実態は、患者のため、病院のためにとってどうなのでしょうか。, まず、病院について考えてみましょう。先ほどの急性期病床のグラフに近い印象を受けるグラフ(図表4)は、諸外国で急性期患者の治療にどれだけの日数を費やしているのかという平均在院日数です。, この平均在院日数の国際比較も急性期病床数と同じで、日本が突出して「治療日数が長い」ということがわかります。諸外国のほとんどでは、90年代初旬から30年ほどの間に、5日間から8日間前後の範囲に在院日数を減らしてきているのと対照的に、日本は90年代中頃まで、治療に1カ月間かかっていました。当時は、療養患者や社会的入院といわれる患者が入院していたことも在院日数の長さの要因です。日本はそこから減少しながら20日間を切り、現在では16日間ですがそれでもかなり長い在院日数をキープしているのです。, このように平均在院日数の国際比較をみてもわかるように、日本ほど急性期病床の在院日数が長い国は他になく、諸外国に比べ日本は2.3倍です(DPC対象病院の平均在院日数は12日前後。それでも諸外国の約1.7倍)。急性期病床数はドイツや韓国などまだ日本に近い傾向にある国がかろうじてありましたが、平均在院日数に関しては、「日本だけ」が異彩を放っています。, 「それだけ日本の医療は患者に対して手厚く接してくれているからではないか」とか「他国と比べものにならないほど医療サービスが充実している証(あかし)ではないか」と、日本人の「美徳」のようにポジティブに受け取る方もいらっしゃるかもしれません。, ただ、残念ながらデータを分析していく限り必ずしもそうともいえません。別次元とも言うべき在院日数の長さは、「患者のため」というよりも、「病院のため」という要素が多分にあるのです。, ではなぜ日本ではこんなに在院日数が長いのでしょうか。それは、空床があれば埋める、そうでなければ病院経営が成り立たない、という病院にとって“切実な事情”が背景にあるからです。多すぎる急性期病床を抱えた病院経営者は、「病院の存続」をかけて、経営のために“在院日数を適正化”する必要があるのです。待ち患者の行列が望める病院は問題ありません。しかし地域の医療ニーズを超え、過剰な急性期病床をかかえる病院が病床を埋める手段は、在院日数のコントロールなのです。, “Built beds is filled beds is billed beds”という表現があります。“作られた病床は、患者で埋め、そうすれば報酬を請求できる”と少々皮肉った意味です。しかし日本ではそれが現実的に起きていないとはいえないのです。, 財務省が公表したもので、横軸に「10万人当たりの病床数(全病床)」、縦軸に「1人当たり入院医療費(年齢調整後)」の関係を表しています。1人当たり入院医療費は、都道府県間で比較ができるように年齢構成が調整されています。, 結果は衝撃的です。都道府県別「病床数」と「入院医療費」の関係における決定係数R2=0.6961と高い相関がみられたのです。10万人当たりの病床数は最多が高知県(2522床)、最小が神奈川県(810床)と3.1倍もあります。高知県民が神奈川県民より3倍病気にかかりやすい県民性であるとは考えにくいでしょう。1人当たり入院医療費は最大が高知県(34万円)、最小が静岡県(19万円)の1.8倍でした。こちらも高知県民が静岡県民より1.8倍重篤な病気にかかるとも考えにくいです。, この「病床数」と「入院医療費」の相関をみると、まさに“Built beds is filled beds is billed beds”。ちなみに日本で人口当たり最も病床が少ない神奈川県でも、OECD先進国の1.7倍強の病床があります。, ここまでくると、「世界一病床が充実している国ニッポン」の実態がなんとなく見えてくるのではないでしょうか。日本は、急性期病床が異様なほどに“充実”しているという裏に、実は「世界一入院日数の長い国」であり、「病院で必要以上に長期滞在することは医療費を押し上げている」可能性があるという日本医療のもうひとつの顔が見えてくるのです。, では、患者にとってはどうなのでしょうか。入院日数の不要な延長化は患者にとってQOL(生活の質)の点でデメリットです。働く世代ですと就労や子育て機会の損失になります。高齢者にとっては行動範囲が病室の中に制限されると、動かないことによる身体能力のADL(日常生活動作)の大幅な低下や、精神状態に悪影響をもたらして「廃用症候群」の発症リスクが高まります。1週間、あまり動かずベッドで過ごす状態を続けると、10~15%程度の筋力低下、さらに、気分的な落ち込みが顕著に現れてうつ状態になったり、やる気が減退したりと精神的な機能低下が見られます。, また、天井や壁が白塗りの無機質な病室での大きな「環境変化」により、せん妄(もう)といって認知症に似た混乱や意識障害発症のリスクも懸念されるのです。, さらに、コロナウイルスに限らず、病院での長期滞在は院内感染リスクをより高める結果となります。このように入院日数の不要な延長化は患者、特に高齢者にとって何一つ良い事はなく、医療の質を下げる結果となるのです。, 「医療の価値=医療の質÷コスト(医療費)」という概念があります。「医療の質」を維持・向上しながら、限られた医療資源や財源を最大限に活用するという考え方で、この「医療の価値」を上げることが国民そして医療経済にとって重要なのです。「医療の価値」を上げるには分子の「医療の質」を維持・向上し、分母の「コスト(医療費)」を下げる努力が必要となります。, 不要な病院の滞在について「医療の価値」の軸を用いると、「医療の質」を下げ「コスト」を増大させるため、「医療の価値」を下げる結果といえます。, 「医療の価値」は私たちが病院の経営コンサルティングをする際にも用いている価値軸です。, ここまで、日本の病床数の潤沢さが「病院」と「患者」にとってどうなのかを考えてきました。では医療費に与える影響はどうでしょうか。, 日本の医療費は年々上昇し、それこそ逼迫しています。2018年における日本の保健医療支出が対GDP(国内総生産)に占める割合は10.9%でOECD加盟国36カ国中6位でした。しかし、各国共通の統計として、保健医療支出の治療費に加え予防、介護、市販薬などを含み、健康に関するOECD各国共通の費用統計体系支出として捉えた包括的な「健康支出」で推計すると、2012年で日本は対GDP比11.2%となり、米国(2013年16.4%)に次ぐ世界第2位であると試算されています(西沢和彦著『医療保険制度の再構築』(慶應義塾大学出版会)参照)。, 医療費全体の4割は「入院料」つまり入院に対する報酬で入院滞在日数に比例します。病床を埋めるために在院日数を長期化し、その報酬が医療費として支払われていたとすると、それは医療資源配分として是正する必要があるでしょう。これには、病床数の適正化に加え、必要以上に在院日数を延長しなくても病院経営が成り立つような診療報酬制度の仕組みが必要と考えられます。, 日本は人口当たりの病床数が世界で最も多い「病床大国」で、入院日数も世界で突出して長い。これは何を意味するのか。病院経営コンサルタントの渡辺さちこ氏と国際医療経済学者のアキよしかわ氏は「日本では病床を患者で埋めないと病院経営が成り立たない」という——。, 「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ. つまり、日本の医師は、医師養成数の多いところから、少ないところに移動する傾向が強いのです。地方か都会かは、私たちの調べた範囲では、� 日本は人口当たりの病床数が世界で最も多い「病床大国」で、入院日数も世界で突出して長い。これは何を意味するのか。病院経営コンサルタントの渡辺さちこ氏と国際医療経済学者のアキよしかわ氏は「日本では病床を患者で埋めないと病院経営が成り立たない」という——。 業界No.1金利の普通預金!年0.2%(税引前、変動金利)。あおぞら銀行BANK支店限定![PR], 多くの人が望んでいる、自宅での「看取り」。しかし、現在の日本の医療システムでは、なかなか叶えることができません。人生最期の大切な時間を、穏やかに、希望通りに過ごすことはできないのでしょうか。旅立とうとする人と、それを見守る家族のサポートは、医師として大変やりがいのある仕事です。今回は、患者とその家族に寄り添う自宅医療のあり方について考察します。, 人が最期を迎える場所は医療や社会の変化とともに変わってきました。図表1で示したとおり、1951年に亡くなった人の8割以上が自宅死でした。2016年になると、この割合は完全に逆転しており、病院で亡くなる人が8割近くを占めています。, これは先進各国の中でも突出して高い割合です。図表2で示したとおり、先進各国の中でも8割程度で推移しているのは日本だけであり、フランスは6割以下、アメリカは4割程度、福祉先進国といわれるオランダに至っては3割以下となっています。, 一方、「最期を迎える場所」について尋ねたアンケートでは、国内でも半数近くの人が「自宅」と回答しており、「病院などの医療施設」を望む人は3割を下回る少数派です。, 希望に反して、自宅で最期を迎えられない人が増えてきた背景にはさまざまな事情がありますが、なかでも大きいのが家族の関係や形態の変化です。かつては「サザエさん一家」のような二世帯、三世帯同居が当たり前だったのが、社会の近代化に伴って核家族のほうが多くなり、成人後の親子関係もそのぶん、希薄になってきました。, 自宅で亡くなるためには終末期にサポートを要するため、家族に負担がかかります。食事や着替え、移動、排泄など、自立できなくなった人を支えるのに要する労力は多大です。家族が医療的なケアをまかなわねばならないケースも少なくありません。胃瘻やストーマ(人工肛門、人工膀ぼう胱こう)の管理、喀痰吸引など、神経を使うケアは多く、適切にできなければ患者の命に関わることもあるため、家族は大きな不安にさらされます。, 医療的なケアには休みがないという問題もあります。24時間不休で、いつまで続くか分からない苦労と心配を抱え続けるのは、誰にとっても大きな負担です。, 患者の中にはそのことを理解しているため、「自宅で死を迎えたい」と言い出せない人もいます。配偶者や子供世帯に迷惑をかけたくないと考え、本当は住み慣れた自宅で最期を迎えたいにもかかわらず、その思いを胸に秘めて亡くなる人が少なくないのです。, 家族の側も、サポートの労苦や急変の不安などを抱えつつ暮らす負担がどれほどのものか、実際に手がけてみないと分かりません。そのため、生真面目な人ほど心配して「なるべく病院で」と考える傾向があります。, 親しい関係を維持できていれば、「しんどくなったら病院に入れてくれたらいいから」と患者側から申し出たり、「やってみるけど、手に余ると感じたら入院してもらうよ」と家族が覚悟を求めたりするなど、お互いが思っていることを率直にぶつけ合えます。ところが家族であっても、心理的な距離が遠く遠慮があると、お互いに忖度し合うことになるため、過半数の人が在宅死を望みながら5人に4人が病院で亡くなるという矛盾が生じているのです。, そんな現状を変えるためには、患者・家族双方の心配を取り除いて支援する仕組みの提供が欠かせません。すなわち在宅医療の普及こそ、在宅死を実現するカギだと私は考えています。, 病院での診療やクリニックでの外来診療など、医師の仕事にはさまざまなシーンがありますが、なかでも在宅での看取りは医師としてのやりがいを強く感じる仕事の一つです。もちろん、大きな苦しみや悲しみを抱える患者や家族への対応には細心の気配りが求められますし、最期に訪れるのはハッピーエンドだけではありません。, しかしながら、担当した患者が尊厳を保ち心穏やかに生涯を閉じることができたときには、医師としての存在意義を感じることができます。看取りには、医師としての診療技術に加え、多職種との複雑な連携や患者、家族への寄り添いなど、総合的な人間力も含めた「医師力」が求められるからです。町のお医者さんとして、日々研鑽を重ねてきたことが厳正に評価されるのが、在宅での看取りだと私は感じています。, 残された家族との関係においても、自身の「医師力」に対する評価を認識できることもあります。「先生に看取ってもらえてよかった」と言ってもらえると、医師冥利に尽きますし、看取りの後も変わらず家族が受診してくれるのも嬉しい評価です。, 人には悲しみや不幸の記憶に結びつくものや場所を避ける傾向があります。ですから、家族の最期を看取った医師に対しては、悲しみが癒えるまであまり会いたくない方もいるでしょう。ところが、私が看取った患者の家族の多くは、その直後でさえも変わらず来院してくれます。, そんなやりがいの大きな在宅の看取りですが、手がける診療所や病院はあまり多くありません。2014年時点で診療所は4312件、病院は476件にとどまります。それぞれ、診療所全体の4.7%、病院全体の5.6%という少なさです(厚生労働省「医療施設調査」より)。, 国内では年間130万人余りが亡くなっています。在宅死を希望する人の割合は55%程度なので、71.5万人の希望者がいることになります。在宅での看取りを行う診療所や病院の数で割ると、一施設当たり150件もの看取りを手がけねばなりません。もちろん、到底対応できない件数であり、患者や家族が望んでも、在宅死は難しいのが現状なのです。, この状況は現在における在宅死の状況からも伺えます。在宅診療を手がける医療機関は地域によってバラつきがあるため、それにより在宅死者の数には地域差があります。人口当たりの割合を比較すると、もっとも多い市区町村ともっとも少ない市区町村では約3倍もの開きが見られるのです。, ただし多い地域でも2割強なので、在宅医療を手がける診療所や病院は、全国的にまったく足りていないと言えます。, 在宅医療はこれまで語ってきたとおり、まだまだ未開の分野であり、手がける医師もまったく足りていません。大きなニーズがあると私は考えていますが、誰もが手がけられるわけではありません。手先が極端に不器用だと外科医には不向きであるように、人間関係がうまく構築できない人は在宅医療には適しません。, その理由は大きく分けて二つあります。一つはやはり、患者や家族との信頼関係が築けないことです。在宅医療は外来診療が不可能になった患者が受ける医療です。患者の暮らしは単独では成り立っていないため、多くの場合、診療には家族が同席します。, 家族とはいえ、考えていることは同じではありません。患者と家族、家族同士でもそれぞれ考え方や悩んでいること、心配していることは異なります。そのため、彼らの問題を軽減するためには、それぞれの悩みや不満、心配事などを聞き取って、時にはアドバイスし、時にはちょうど良い落としどころを一緒に探すことが求められます。, 彼らが一緒になって病気と向き合う状況を作り出すのも医師の大切な役目であり、それができて初めて、患者と家族から信頼を得て、彼らを幸せにすることができます。, 私にとって患者や家族の幸せが訪問診療を行う上での目標であり、彼らを幸せにできることが医師にとっての幸せだと感じています。多くの医師も同じだと思いますが、もしも、病気の治療以外は面倒だと感じるのであれば、在宅医療には不向きです。, 患者や家族との関係以外にもう一つ、在宅医療を手がける医師に求められるのが他職種との連携です。他職種との連携において上下関係はありませんが、立場的に医師が主導することが多いため、リーダーシップを発揮できる人が在宅医療には向いています。ただし、医師が触れる世界は狭く、育成過程においても密に接触する人の大半は医療関係者に限られます。, 在宅医療に関わる他職種の人たちは、年齢や性別、知識や考え方も多様です。社会経験の少ない医師が、彼らと適切に連携するのは容易ではありません。高いコミュニケーション能力が求められることを意識し、日頃からなるべく多くの人と接するなどの努力を重ねたいところです。, 大阪市立大学医学部卒業後、大阪市立大学医学部附属病院第2内科に入局。その後、長野県佐久市立国保浅間総合病院内科にて内科医として地域医療に従事。さらに(旧)国立泉北病院・神経内科にて約10年間勤務を経て、1996年に嶋田クリニックを開院。勤務医時代から通院できなくなった患者を訪問診療し、開院後はさらに医療と地域との連携を考えた医療を実践し続けている。大阪市立大学医学部非常勤講師、大阪府保険医協会副議長・地域医療対策部部長、泉北医師協議会会長、「三つ葉の会」(堺市南区周辺の多職種連携推進の会)会長、大阪府介護支援専門員(ケアマネージャー)協会堺支部南区地区顧問、堺市認知症サポート医。高齢者の在宅医療、またパーキンソン病をはじめとする神経難病と認知症に対する専門診療・保健活動も行い、通院が困難な患者の訪問診療に注力している。日本内科学会・総合内科専門医。日本神経学会・神経内科専門医。, 本書では、これからの医師に必要な緩和ケアや終末期医療の知識や技術、QOL向上を目的とした医療処置がどのようなものか、事例を取り上げて解説しています。また、これから開業を目指す医師に向けて、外来診療と訪問診療をミッ…, メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。. 病院経営の赤字は、そこで働く人のみならず患者にも悪影響をもたらしますが、現状では3割もの病院が赤字に陥っています。病院経営の赤字を克服するためには、現場医療に即した経営移行とマクロの視点で国が医療改革に舵を切ることでつぶれない病院へと変わる必要があります。 「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ. Copyright © 2021 Gentosha Gold Online LLC. 今回は「医者がこぞって降圧剤を処方したことで他の病気が増えた」「日本に認知症と寝たきりが多い理由は血圧に関係がある」と、さらなる医療業界の深い闇について持論を展開しています。 病院が高血圧治療を始めて30 厚生労働省は19日、「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、公表した。それによると、全国の医師数は、32万7,210人で、前回調査(16年)に比べ2.4%増となり、一貫して増加傾向が続いている。このうち、女性医師は7万1,758人で、前回よりも6.3%増と大きく数字を伸ばし … 猪瀬 直樹: 作家 著者フォロー. 日本は人口当たりの病床数が世界で最も多い「病床大国」で、入院日数も世界で突出して長い。これは何を意味するのか。病院経営コンサルタントの渡辺さちこ氏と国際医療経済学者のアキよしかわ氏は「日本では病床を患