アルバイトをする時、「社会保険ってどうなるんだろう」と思ったことはないでしょうか。今回は、身近なようで意外と知られていないアルバイトの社会保険について、紹介・解説していきます。これからアルバイトを始めようと考えている人も必見です。 ・従業員数が501人以上の会社・または従業員が500人以下であるが労使の間で社会保険適用の合意が取れている会社, まず労働時間や就業期間についてですが、正社員の1週間あたりの労働時間に関わらずアルバイトやパートでも「1週間の所定労働時間が20時間以上」であれば条件を満たしているとみなされます。, 加えて「1年以上の雇用期間が見込まれる」という条件もクリアする必要があります。また、「対象の従業員が学生ではないこと」という項目も設けられていますが、働きながら夜間・定時・通信制に通っている場合は例外です。, アルバイトやパートの場合「1ヶ月あたりの賃金が8万8000円以上」であるということも社会保険に加入するための条件となります。, この項目は年収106万円というボーダーラインとしてよく話に上がるのでしっかりと覚えておきましょう。, なお、この1ヶ月あたりの賃金には夏冬のボーナス・通勤手当・残業代などは含まれません。, 勤め先の規模については「従業員数が501人以上の会社・または従業員が500人以下であるが労使の間で社会保険適用の合意が取れている会社」とされています。, 従業員数は既に社会保険が適用されている人数でカウントされるので注意が必要です。介護保険は上記の条件を全て満たした上で従業員が40歳になった段階で加入出来るようになります。, 雇用保険は上記3つの社会保険に比べると加入のためのボーダーラインが緩めに設定されています。まず、下記2点については共通です。, こうした条件の違いにより、雇用保険は適用されるがその他の社会保険は適用されないといったケースも発生し得るのです。, 社会保険加入に際してどの保険が適用となるのかは、勤め先の担当者によく確認するようにしましょう。, 正社員でもアルバイトでも、社会保険の加入条件を満たしている場合は強制的に加入となります。従業員個人の意思や会社の意向で加入しないということが出来ないので十分に注意しておきましょう。, しかし、世の中には何らかの事情で社会保険へ加入したくないという人もいます。社会保険が整備されている会社の正社員の場合は、加入を避ける手立てはほとんどありません。, ただしアルバイトやパートであれば働き方を工夫する事で社会保険に加入しない方法も存在します。, アルバイトやパートが社会保険に加入するための基本的な条件は「労働時間・または労働日数が正社員の4分の3以上」になることです。, つまり、労働時間・日数を正社員の4分の3に抑えておけばアルバイトやパートの場合は社会保険への加入義務が発生しないことになります。, 何らかの理由で社会保険に加入したくない場合には、採用面接時やシフトの調整時に雇用主と相談してみましょう。珍しいことではないため、基本的に雇用主も前向きに対処してくれる場合が多いです。, 上記の条件以外にも「所定の条件5つを全て満たす」ことで社会保険への加入義務が発生することは前述しました。, 正社員と比較した労働時間・日数の条件に当てはまらなくても、5つの条件全てをクリアしてしまうケースも存在します。しかしこの5つの条件は「全て」満たす必要があるという点がミソです。, 社会保険に加入したくない場合には、この5つの条件の中で調整しやすいものを選んで条件に引っ掛からないようしましょう。, この5つの条件の中で調整するものとしては「1ヶ月あたりの所定賃金が8万8000円以上」をおすすめです。1ヶ月あたりの給与を管理すれば良いため、調整が比較的容易であるというのがその理由のひとつです。, 例えば他の条件を見てみると、1週間あたりの労働時間を20時間未満に調整するというのはシフトの変動が激しい場合に基準が曖昧になりがちで管理がやや難しくなります。, 勤続見込み期間・学生である事・事業所の規模といった条件については、自力で調整するのはやや困難です。, 1ヶ月あたりの所定賃金を8万8000円未満に抑えるという事は、年収で言えば106万円未満になります。この年収106万円という数字も社会保険を語る上でよく見かけるので覚えておきましょう。, 社会保険には加入したくないけれど、アルバイトもしくはパートで出来るだけお金を稼ぎたいので106万円以上の年収が欲しいという人も多いでしょう。, この場合にはアルバイトを掛け持ちするという手段で解決出来る可能性があります。社会保険適用の条件は1つの勤務先で満たすのが原則です。, つまり所定労働時間を正社員の4分の3に抑えた上で、年収106万円未満のアルバイトを掛け持ちしていれば社会保険に加入せずとも年収106万円以上を実現することが可能になります。, 社会保険は労働者の生活を保障するための制度であり、加入することで様々なメリットを享受出来るようになります。条件を満たした際に強制加入となるにも関わらず受け入れられているのはこのためです。, しかし制度の特性上、社会保険への加入にデメリットを感じる人がいるというのもまた事実と言えます。, 社会保険は自分のお金に関わるポイントなので、メリットとデメリットを合わせて把握しておくことが重要です。社会保険加入に関する主なメリット・デメリットは以下のようになっています。, 社会保険に含まれている5つの保険は、どれも仕事をする上で従業員が安心して働くために役立つものばかりです。, 生きていれば誰でもケガや病気を患う可能性はあり、それが原因で仕事を続ける事が難しくなってしまう場合もあるでしょう。このようなケースでは雇用保険による支援金が生活の大きな支えになります。, ケガ・病気が勤務中や通勤中に発生したものであれば労災保険による保障が期待出来るでしょう。, 健康保険や介護保険なども、万が一の時に従業員が困らないようにするための制度です。健康保険はケガや病気についての医療費補助はもちろんのこと、出産手当金などを受給することも出来ます。, こうした様々な保障を社会保険というひとつの制度にまとめて、面倒な手続きを代行してくれるという点は従業員にとって大きなメリットと言えるでしょう。, 社会保険以外で国民健康保険や国民年金に加入している場合は、保険料や月々の年金積立金は全額自分で負担することになります(収入状況によっては納付猶予などの制度は利用出来ます)。, 特に健康保険と厚生年金に関しては、労使折半で会社に負担してもらえる金額も大きいので家計の助けとなるでしょう。, もちろん月々の給与から天引きという形にはなりますが、保険料の自己負担額が減ることを考えれば従業員にとってはお得なのです。, 社会保険で厚生年金に加入すると自動的に国民年金からは脱退となるため、勤務が開始となったら自分で国民年金を納める必要はなくなります。, しかし、これを「国民年金の支払いを行わなくて良い」というのは正確ではありません。実は厚生年金の一部には国民年金が含まれており、それを労使折半で支払うという仕組みになっているのです。, 日本の年金は政府が提供している「公的年金」と、民間の企業が独自に用意している「企業年金」の2種類に大別することが出来ます。, 厚生年金は一見すると企業年金にも見えますが、制度的には法律的な根拠を持った公的年金に分類されるのです。, この公的年金は「二階建て」と呼ばれる構造になっており、一階部分が「国民年金(基礎年金と呼ばれることも多い)」、そこに上乗せされる二階部分が「厚生年金」となります。, つまり厚生年金は正確に言うと「国民年金+厚生年金」という構造になっているため、実際には国民年金だけの場合よりも多くの年金を積み立てていることになるのです。, 積み立てる年金の額が大きくなれば、当然将来的に受け取ることの出来る月々の年金にも上乗せされます。社会保険加入となる最低ラインの月収8万8000円を例にとってみましょう。, 厚生年金の保険料は月収によって1~31等級(月収が少ないほど数字が小さい)まで段階的に決められており、保険料率は等級に関わらず18.3%で定率です。, 1等級の場合の厚生年金保険料は月々1万6104円となり、これを労使折半するので実際の従業員の負担額は8052円となります。, 仮にこの保険料を20年間納めたとすると、将来的に月々受け取る年金額は国民年金のみの場合と比べて約9700円多くなるのです。, もちろん収入状況や勤続年数(厳密には社会保険への加入年数)によって上乗せになる金額は異なりますが、老後のことを考えれば厚生年金への加入は安心材料になると言えるでしょう。, なお、社会保険料の計算で使用される月収は「標準報酬月額」と呼ばれており、4~6月の収入を基に算出されるものです。, そのため、4~6月にかけて通常よりも多く働いて月収が増えると支払う保険料も高くなります。単純に年収を12で割ったものではないので注意しておきましょう。, 4~6月の標準報酬月額を基に算出された厚生年金保険料はその年の9月から翌年8月まで適用されます。, また、標準報酬月額の計算には残業代・通勤手当・宿舎費・食事代といった現物給与の各種手当てや諸経費が含まれている点にも注意が必要です。, 社会保険への加入条件となる所定の月額給与にはこれらが含まれていないので、混同してしまわないように十分に留意しておきましょう。, 社会保険は毎月の給与から天引きという形で保険料を支払います。振込み時には保険料が指し引かれた金額が入金されているので、保険料を支払うタイミングを自分で調整することが出来ません。, ギリギリの収入でやりくりしている場合にはこれがデメリットとなる可能性も高いでしょう。, また、所定労働時間が正社員の4分の3未満であり、なおかつ年収130万円未満の場合には配偶者(妻・夫)や親が加入している社会保険の扶養に入ることが出来ます。, 扶養に入っている間は保険料なしで国民年金に出来る(配偶者の扶養に入る場合のみ)他、健康保険についても被保険者(社会保険に加入している配偶者や親)と同様の扱いを受けることが可能です。, 自分で社会保険に加入するということはこの扶養から外れることを意味しており、労使折半されているとは言え保険料もいくらか自腹で支払う事になります。, 長い目で見れば会社が負担してくれた保険料が浮くことになりますが、配偶者や親の扶養に入っていた人にとっては社会保険の加入によって手取りが減ってしまう(自己負担の保険料が発生する)というデメリットが存在するのもまた事実です。, 社会保険は条件を満たした時点で強制的に加入となります。手取りを減らしたくない、家族の扶養内で働きたいという人にとってこれは如何ともし難いデメリットです。, 出来るだけ効率的にアルバイトで貯金を積み重ねたい、被扶養者としてのメリットを活用しながら働きたいという人は、何かしらの工夫を凝らして仕事を探す(もしくは仕事を続ける)必要があるでしょう。, いかがでしたか?本記事をお読みくださった方の中には、社会保険か完備されているような安定した職場で働きたいと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?, 安定した働き方を目指したい場合には、アルバイト・パートと正社員、双方のメリット・デメリットを把握し、本当に自分に合った働き方をすることが望ましいです。, 下記の記事ではフリーターと正社員の違いを徹底比較しています。「どの働き方が自分に合っているのか」「安定した働き方をするにはどうすればいいのか」などでお悩みの方はぜひチェックしてみてください。, ちなみに、正社員として働くことを検討中の方には、就・転職エージェントを利用した仕事探しがおすすめです。就・転職エージェントとは、提携している企業の求人を紹介してもらえる民間の就・転職支援サポートのことです。, 専属のキャリアアドバイザーに企業の細かい情報を教えてもらえる他、気になる求人があれば企業ごとに合わせた履歴書・面接対策も受けることができます。, ・サービス利用料完全0円 仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
非正規雇用の従業員と福利厚生 2020.07.13 リロ総務人事タイムズ編集部. 電話受付:平日 9:00 ~ 19:00 社会保険への加入は、メリットがたくさんあります。 健康保険・年金・住民税など…。 加入には条件がありますが、パート・アルバイトでも、正社員と同じ社会保障が得られます。 夫は会社員をやりながら、妻はパートに出る。共働きが増えている現状でこうした働き方はごく一般的なものとなっています。そのような妻がパート(アルバイト)として働くというときに問題になるものの一つが「社会保険に入るかどうか?」というものがあります。 70歳まで働くける社会のために、確定拠出年金の加入期間延長や在職に受け取る公的な老齢年金の要件緩和が予定されている。現在の制度は65歳まで雇用を継続するための制度となっているが、今後65歳以上も働ける社会となったとき、どのような働き方の選択 本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。