インドやルワンダで急速に実用化が進んでいる「医療ドローン」。新型コロナウイルスによるリモート医療や、災害現場でも活躍が期待されます。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。・ドローンの名で知られる無人航空機は、医療提供のラストワンマ 日本の医療の成果 平均寿命 世界一 (男性78.07歳女性84.93歳) 健康寿命 世界一 (男性71.40歳女性75.80歳) 乳児死亡率 世界最低(1000人につき3.6人) 「GLOBE+」を一層お楽しみいただけるサービスをご提供します。, このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。, 死んだペットが10万ドルでよみがえる(文字どおり) クローン犬誕生の現場に立ち会った【動画あり】, 【募集終了】これからのビジネスコミュニケーションを考える「GLOBE+ TALK」10月3日(木)開催!. アメリカの公的医療保険は、65歳以上の高齢者と障害者などを対象とする「メディケア」と、低所得者を対象とする「メディケイド」のみ。この2つでカバーされない現役世代は民間医療保険が中心です。 貧困地域では満足な医療が受けられず、「マラリア」や「はしか」といった予防できる感染症の予防処置もできません。 先進国では助かる疾病でも医療整備が不十分であるため、助けられるはずの命も失っています。 性差別 偶然や生物学的要因(年齢、性別、 … (4)医療への影響 ところで経済格差がもたらす医療への影響は、どこに一番現れ、誰が一 番困っているだろうか。国保未納者等の受診困難事例増加も報道されてい るが、医療機関が抱える未収金の著しい増大も問題である。 1.1 先進国でも見られる医療格差; 2 健康格差とは. 誰もが治療を受けられる未来を。国籍、人種、民族、思想、宗教などのあらゆる壁を越え、世界各地で医療から疎外された人々の支援にあたります。認定npo法人世界の医療団へのご寄付は控除の対象にな … 実際,ベトナムでは富裕層が増えており,3000万USドル超の資産を保有するミリオネアに至っては,その人口増加率が,2019年から2023年の5年間で世界最高水準の31%増加となる見込みという報道もある(2019年3月6日VN expressの記事)。他方,所得格差は一向に縮小しておらず,ジニ係数(https://www.gso.gov.vn, 2019年10月9日閲覧 ; 値が1に近いほど格差が大きい)を見てみると全国では,2006年に0.424,2018年の速報値も同じ値となっている。都市・農村別にみると,都市部では0.… 格差の中でも特に重要なポイントとなる所得格差は世界規模で増大しています。 たとえば、世界非政府組織NGOの報告によると、世界の富豪の上位2153人が2019年の時点で所有した資産は、最貧民層46億人の総資産を上回っているというのです。 日本で問題となっているのが、過疎地の医療格差です。なぜなら、医師は最新の治療が行われている都市部に集まりがちなので、過疎地は医師不足になっているためです。しかし、住む場所によって受けられる医療に差があってはいけません。 「GLOBE+」を一層お楽しみいただけるサービスをご提供します。, おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など 4.1 hiv/エイズ; 4.2 結核 世界銀行と世界保健機関(WHO)によると、2017年の段階で世界人口の半数が基礎的保健サービスを受けられずにいると報告しています。, また、先進国・発展途上国を問わず、医療費の自己負担が原因で貧困に陥っている多くの家族がいます。ここでは、世界の医療事情をお伝えしながら、医療格差の現実、問題点、私たちにできることは何かを模索していきます。, SDGs「すべての人に健康と福祉を」の達成のために、感染症になる子どもたちに必要な対策や支援とは, 30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「すべての人が適切な医療を受けれる」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!, 設問数はたったの3問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?, 先進国の主な死亡原因は心臓病・ガン・脳溢血といった生活習慣病ですが、開発途上国では依然として下痢症・エイズ・肺炎・マラリア・結核・はしかなどの感染症で多くの人が命を落としています。, 感染症は予防することが可能で、治療法もわかっているにもかかわらず、世界全体の死亡者の半分以上を占めていて、95%が開発途上国で起こっているのです。, 所得が低いサブサハラ・アフリカと南アジアでは貧困層が多く、自己負担の医療費が重く家計にのしかかっています。医療費が家計の一割を占める人口は 8 億人で、基礎的保健サービスを受けられずにいます。, 医療費のために1億人近くが1日わずか1.90ドル未満での生活を余儀なくされるという極度の貧困状態に追いやられています。, 2019年世界保健デーのテーマは、WHOの優先課題の1つであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage : UHC)です。, ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは健康が基本的人権であることを宣言し、「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態」を指します。目標はすべての人が経済的な困難なしに、保健医療サービスを受けられることを目指しています。, 持続可能な開発目標(SDGs)においてもゴール3(健康と福祉)の中でUHCの達成が掲げられています。UHC達成のためには「保健医療サービスが身近に提供されていること」、「保健医療サービスの利用にあたって費用が障壁とならないこと」の2つがクリアされる必要があります。, ある機関が行った研究では、子どもがいる家庭を貧困層(4人家族で年間世帯所得250万円未満)と非貧困層に分け、入院の有無、6つの慢性疾患の通院の有無を比較しました。, 2歳の時点で貧困層の子どもは非貧困層の子どもより1.3倍も入院する危険性が高かったという結果がでています。ぜんそくによる通院割合は1歳時点で非貧困層より1.35倍高く、3歳時に入院経験のある子どもが6歳時になって入院する確率は所得が低いほど高く、過去の病気の影響をその後も引きずっていることが示唆されました。, 貧困層の子どもは栄養バランスや住環境が良くないことなどから病気になりやすく、回復力が低い可能性があります。また、生活に追われる親は、子どもの体調の変化に気づきにくく、入院するほど悪化する前に医師に診てもらう時間的・経済的余裕がないことなども原因でしょう。, 後で言及しますが、アメリカの健康保険制度も生活者にとっては非常に厳しく、高額な医療費が払えない、民間の保険に加入する経済的余裕がないことから、病院にかかれない人が増えています。, カナダやイギリスと言った保険制度がある国においても、貧困層の子どもがおかれた劣悪な居住環境や食生活、親の金銭的・時間的・心理的余裕の欠如、ストレス、情報の不足といった諸要因が子どもの健康格差を生み出していることが明らかになっています。, (出典:国立社会保障・人口問題研究所「子どもの健康格差は存在するか:厚労省 21世紀出生児パネル調査を使った分析」 ), アフリカや南アジア地域の途上国では、5歳の誕生日が迎えられない子どもが年間540万人います。そのほとんどが新生児で、「肺炎」「下痢」「マラリア」などが原因で命を落としています。, ユニセフとWHOのデータによると、約2,000万人の子どもたちが予防接種を受けられていないことが明らかになりました。予防接種を受けていない子どもたちの大半は、最も貧しい国に暮らしていて、紛争などの影響を受ける地域に偏っています。, そのうち半数以上はアフガニスタン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、イラク、マリ、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリアおよびイエメンの16カ国で暮らしています。, その子たちが病気になった場合、救命処置や治療へのアクセスも見込めず、深刻な事態になります。ワクチンの多くは、冷蔵庫がないような途上国の環境に対応していないことも大きな問題です。, 今後、新生児・子ども・母親を支援し、医療格差を是正することが、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「子どもの予防可能な死を根絶し、誰ひとり取り残さないことを確実にする」という目標の達成のために必要不可欠です。, 先進国でも国によって医療制度が異なっています。近年、日本だけでなく多くの国で高齢化が進み、それに伴って非感染症疾患(生活習慣病、がん等)が急増し、多くの国に財政負担の増大をもたらしています。, アメリカの医療格差社会により、公的医療保険は65歳以上の高齢者と障害者などを対象とする「メディケア」、低所得者を対象とする「メディケイド」のみで、この2つに該当しない人は民間医療保険に頼るしかありません。, オバマ政権時に、公的医療保険に入っていない人々は民間の保険会社への加入を義務とされましたが、受診可能な医療機関が限られており、いまだ無保険者も多いことで所得により受けられる医療には大きな格差がうまれています。, 在ニューヨーク総領事館のホームページによると、盲腸炎で1~3日入院しただけで150~440万円かかるとも言われています。, 国際社会の取組みにより、1990年には年間1,260万人だった5歳未満児の死亡数が2016年には560万人に、2018年には540万人に減少するなど、大きな成果があるものの、全世界では未だ人口の半分、35億人が健康を守るための質の高い基礎的サービスにアクセスできていません。, この記事では医療を受けられるチャンスは経済状況と大きく関係していることをお伝えしました。同じ国のなかでも都市部と地方部は差があり、僻地居住者、低所得者層、女性・障がい者・少数民族など保健医療サービスから取り残されている人々が多くいます。, 予防や治療を受けていれば救える命。そのために、私たちができることを考えてみてはいかがでしょうか。, グループメディア:BITDAYS | DELIGHTmedia | GANMA!ニュース, gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。, 税方式による公営の保険・医療サービス。料金はランスティング(広域自治体)が独自に決定。. 感染症は「戦い、倒すべき敵」なのか 世界の健康格差に目を向けるべき World Now 2020.06.12 新型コロナウイルスの感染者が急増しているブラジルでは、2009年のパンデミックインフルエンザでも多くの犠牲者が出た=2009年9月、サンパウロの感染症専門病院で、平山亜理撮影 医療の国際数量比較-日本の医療は世界一か?の記事ならニッセイ基礎研究所。【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。 ルイジアナ、シカゴの死者数の7割が黒人中国・武漢で最初に流行した新型コロナウイルスは、次々と国境を越えて、あっという間に世界に拡散した。このウイルスの前では、国籍も人種も階級も関係なく、誰もが平等に襲われるリスクにさらされていると思っていたが、そうではなかったようだ。 医療格差. 健康格差は世界で見るとより顕著に現れます。所得が低くなる後進国のアフリカでは貧困層が多く、死亡率も高くなっています。特に都市部では各国所得格差が大きく、都市部の貧困層と富裕層では大きな健康格差、死亡率格差が出ています。 以下では特に断り書きのない限り、医療サービスの消費者(患者)側からみた格差について、日本における事例を述べている。 1 世界の医療格差とは. 日本は世界一の長寿国と言われていますが、社会経済状況の違いによって人々の健康には 差が生じているという見方があります。今回は、人々の所得や雇用と健康格差には、関係 があるのか、見ていきます。 世界で亡くなる人のうち、予防できたはずのものはどれだけあるのでしょうか。 これだけ世界の中で予防や治療に関する知識が存在しているにも関わらず、医療環境の問題から命を落としてしまう人が今も多く存在するのは前段落でも見た通りです。 世界の医療格差とは 先進国の主な死亡原因は心臓病・ガン・脳溢血といった生活習慣病ですが、開発途上国では依然として 下痢症・エイズ・肺炎・マラリア・結核・はしか などの感染症で多くの人が命を落 … 簡単な症状をミャンマー語で表現できると緊急時に役立ちますので,基本表現をいくつかご紹介します。英語については,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。 ミャンマー語表現 急病時 世界の貧困問題の状況と原因、そして解決策について国際ボランティア団体がわかりやすく解説。世界の10人に1人が絶対的貧困に苦しんでいる理由は。 健康格差(けんこうかくさ、health disparities、health inequalities、health divide)は、人種や民族、社会経済的地位による健康と医療の質の格差である 。 米国保健資源事業局は「疾病、健康状態、医療アクセスにおける集団特異的な違い」と定義している 。. 世界的にみると、ウイルスと最前線で戦っている医療従事者の70%が女性だ。日本でも、女性の割合は世界の傾向と大きく変わらない。 医師の女性の割合は約2割にとどまっているが、保健師、看護師、准看護師は、いずれも女性が9割以上を占めている。 精神医療の現状 (前編)-「世界没落体験」とは何か?の記事ならニッセイ基礎研究所。【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。 アフリカには、子供に基本的な教育すら受けさせる余裕のない家庭が多く存在します。 子供の基礎教育を政府プロジェクトに掲げている地域もあるにもかかわらず、多くの地域で学校が不足しており、また学校があっても家から遠く、さらに家庭が貧しいために幼い子供たちが家の仕事に従事させられていたりと、教育の機会が奪われてしまっているのです。 結果、アフリカ諸国のなかには識字率が非常に低い国や、基礎的な教育や知識が足りないために、単純労働以下の仕事しか得られず、貧困が貧困を呼 … 表5-1 海外の医療保障制度. とはいえ、全国344の二次医療圏にある基幹病院(入院治療を必要とする重症患者の医療を担当する医療機関で、地域の中核的病院、専門性のある外来や一般的な入院治療を行う)には治療能力に「格差」がある。国民は全国一律の保険料と治療費を払っているのに、現実には受けられる治療に差がある。 その格差を解消するには、格差を可視化した客観的なエビデンスが必要だ。今中雄一京都大学大学院医学研究科教授が手をつけ … 世界的に、学校に通える子どもの数は増えたとされています。しかし、開発途上国と言われる国々では、いまなお、5人に1人の子どもが学校に通えないままです。 教育を受けることができないまま大人になると、読み書きができず、安定した仕事につくことができません。 医療格差の弊害; 医療費を例にとり医療格差について取り上げてきましたが、実際にどのような弊害が起きるのでしょうか。ここからは地域間における医療格差が原因でどのようなことが起きるのか見ていきましょう。 医療を受けられないことがある 3.1 5歳未満で亡くなる子どもたちの多くが途上国; 4 世界の三大感染症とは. 医療格差(いりょうかくさ)とは、医療におけるあらゆる格差のこと。. 世界の教育格差問題 2030年までの目標と対策~SDGs質の高い教育をみんなに~ 日本では、子どもたちは当たり前のように小学校や中学校に通っていますが、世界に目を向けてみると、就学できない子どもたちも少なくありません。 2.1 健康格差が生まれてしまう原因は? 2.1.1 所得; 2.1.2 地域; 2.1.3 雇用形態; 2.1.4 家族形態; 3 途上国の医療事情. 先進国に暮らす人々の多くにとって、感染症で命の危険を身近に感じる経験は初めてかも知れない。実際、世界保健機関(WHO)が、「高所得国」「高中所得国」「低中所得国」「低所得国」ごとに2016年の10大死因を調べたところ、高所得国での感染症は様々な病原体による下気道感染症(肺炎など)が6位に入るだけだった。, しかし、所得が少ない国になるほど感染症による死者は増える。低所得国では下気道感染症が最大の死因で、2位が下痢性疾患、4位HIV・エイズ、6位マラリア、7位結核と、感染症が目白押しだ。世界全体でみても、下気道感染症による死者は年間300万人で4位、下痢性疾患は140万人で9位、結核も130万人で10位に入っている。, 感染症の歴史に詳しい長崎大学熱帯医学研究所教授の山本太郎さん(56)に、新型コロナウイルスをはじめとする感染症との間合いについて聞いた。, 人間は自然の中の一部である以上、感染症は古くからずっと一緒にあって、将来もそうだと思います。, しかし、第2次世界大戦後に抗生物質のペニシリンが広く実用化され、肺結核に効くストレプトマイシンも登場しました。それまでバタバタで亡くなっていた産褥(さんじょく)熱などいろんな感染症の患者が抗生物質で助かるようになりました。, 1950年ごろからはウイルスの発見とワクチンの開発がどんどん進んで、大変だったポリオでもワクチンが大きな効果を見せました。人類は感染症をコントロールできるという機運が生まれ、その頂点が天然痘の根絶だったわけです。, しかし、そのころ実際に起きていたことは、エボラ出血熱など新たな感染症の登場や従来の薬が効かない薬剤耐性菌の広がりでした。感染症の制圧はやっぱり難しいんじゃないかと気づき始めたのが、21世紀の初めぐらいからではないかと思います。, 話は少し変わりますが、感染症は悪いのかという問題があります。感染症に対する免疫を持たない文明は自然に対して大変脆弱(ぜいじゃく)です。私たちが感染症に対する免疫を全く持っていなければ、生態系に出て行ったとき、感染症に阻まれたでしょう。逆に言えば、人類があらゆる環境に出て行くことができた一つの大きな要因は、感染症への免疫を持っていたことだったのです。, 感染症への免疫を持っている社会が免疫を持っていない社会と出合ったら、すごく有利になります。その有名な例がコロンブスのアメリカ大陸再発見以後のスペイン人と南米先住民の出会いです。当時は感染症が病原体で起きることがわかっていなかったので、スペイン人の持ち込んだ感染症でいかにも奇妙なことが起きたわけです。先住民は自分たちの仲間だけがバタバタと倒れていく様子を見ることになりました。歴史家たちは「そこに神の意思を見た」というわけですが、それがなければ、たかだか700人ぐらいのスペイン人が数百万人もの先住民を征服することはできなかったでしょう。, そういう、いくつかの総合的な事実の中で、感染症は闘うばかりではなく、自分たちの中に取り込んでいくべきものかも知れないという感覚が少しずつ出てきたのが21世紀だと思うわけです。今回のコロナでも当初は闘うものと見ていたのが、徐々にみんな認識が変わってきたように感じています。, ――感染症を敵とみなして絶滅することは難しいし、そもそもそれがいいことかということも含めて考え直されたということでしょうか。, そうです。二つのポイントがあって、一つはそもそも感染症を根絶するのは可能かという点、可能でなければ別の案を考えなければいけないということです。もう一つは少し長い目で見たとき、そこにある種の利点のようなものを見いだして、感染症で亡くなる人を減らすことができれば長期的な共存は可能ではないかということです。, ――今回の先進国の対応はパニック的にも見えます。そもそも人は死ぬ存在だということが忘れられたり、死が遠くなったりしてしまったことが大きいのではないかと感じているのですが。, 基本的に医学や医師は人の寿命をできるだけ長くして、その人の生を支えようとしてきました。それが逆説的に死を遠ざけてしまって、本来的な部分から目をそらしてしまった可能性はあります。, 生を長くしようとしてやってきたことは悪いことではないけれど、人ってやっぱり死ぬんだということも含めて、もう一度生き物としての自分たちを振り返るっていうことが必要なのでしょう。, もう1点、当初から違和感があったのは、この問題を戦争だ、闘いだとした政治リーダーたちがいたことです。, 戦争だったらたおすべき相手がいて、勝利の形の目標があります。でも、今回のパンデミックではたおすべき相手はいなくて、感染した人たちや感染対策で経済的社会的に影響を受けた守るべき人たちがいるだけです。だったら「守るべき人がいるから」と伝えるべきだったのに、戦争・闘いと言ってしまったために守るべき人のことを忘れて「勝つまで我慢しろ」となってしまいました。, ――途上国でこれまで流行してきた様々な感染症の多くは見過ごされてきたのではないでしょうか。, 途上国では感染症が以前も今もずっと健康上の一番大きな問題であり続けています。そのことに光が当たるのはとてもいいことだと思います。でも今度の新型コロナだけではなく、HIV・エイズや結核、マラリアといった感染症がたくさんあって、そうしたものにもちゃんと向き合って対策しなければいけないんだということが重要なメッセージです。, もう一つは社会的距離を取るといった対策は、豊かな国でしかできないんです。途上国のスラムで暮らして一番感染症の影響を受けやすい人たちは、社会的距離のためにコストを払う余裕はないわけです。とても脆弱(ぜいじゃく)で、それを何とかするには国際的な協力が必要です。, ――社会的距離をとるというのは、日本でも豊かな人はできても、貧しい人たちは難しいという面があると思います。, 先進国の中でも、国際的にも、同じ構図があって、世界の健康格差が浮き彫りになったわけです。社会的距離の中でその痛みに気づくこと、自覚的であることがとても重要です。, ――日本では今のところ、死者数を抑えられていると思いますが、要因として考えられていることはありますか。, 今の段階で評価するのはとても難しい気がします。二つ理由があって、一つは各国が何をもって感染者数と言っているのかがわからないということです。途上国で死者がゼロだといって、そこで対策がうまくいっているとは限りません。もう一つはスペインインフルエンザやペストの流行で、第1波の被害が少なかったところが第2波で大きな被害を受けたという歴史があるからです。, 日本は今のところ比較的うまくいっているのかなと直感的には思いますが、まだ評価するのは早いでしょう。, ――治療薬やワクチンについて、政治リーダーたちは人とお金を投入すれば開発できると楽観的なメッセージを出していますが、それは実現するでしょうか。, 新型コロナに関してはわりと明確な目標があって、そこに向けて人とお金を投入していけば、薬もワクチンも開発はできる範囲のことではないかと見ています。ウイルスに対するワクチンは長い経験がありますし、ウイルスでは難しいと思われてきた薬もここ10年、20年でいろいろ開発されてきて、その戦略も方法論もいくつか確立されてきました。非常に無理なことをしようとしているとは見えません。, 対策には医学的なものに加えて、社会的なものも考えていかなければならないと思います。, ――ただ、ワクチンが開発できたとしても、広く使えるようになるまでには相当なタイムラグが生じるのではないでしょうか。, その通りです。ワクチンについては開発できるか、いつごろできるかという問題もありますが、たとえワクチンが開発されて1日100万人分生産されるようになったとしても、日本国民1億人分作るには100日、人類全体なら7000日、20年かかるわけです。, 開発されたときに誰からどのように配っていくのかというのは、ワクチンを作ることと同じぐらいすごく重要な話で、しかも今からだって議論できます。, そのとき社会的距離をとることができて医療事情もいい先進国があって、一方で社会的距離をとることができなくて感染症のベッドも少ない途上国があるわけです。その割り振りはどうするのでしょう。当然、ワクチンが開発されるのは先進国なわけですよ。そういう話は今からできる話で、本当にいろんな問題を含んでいるのですが、それは議論しておかなきゃいけないと思いますね。, 医学や医療を超えた議論だと思います。医療関係者だけでなく法律の専門家もいるでしょうし、宗教家だって倫理学者も必要でしょう。みんなが正解がない中で議論して、その中で決めていかなきゃいけないという覚悟を明確にして臨むべきだと思います。, やまもと・たろう専門は国際保健、医療人類学。国際協力機構のジンバブエ感染症対策プロジェクトにも参加した。著書に「感染症と文明――共生への道」など。, 世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス。人との接触を避け、家に閉じこもる生活を強いられてきましたが、北半球では次第に沈静化しつつあり、日本では緊急事態宣言が解除され、欧州でも都市封鎖が解かれつつあります。私たちの暮らしは元に戻るのか、それとも新しい暮らしに変わるのか。ウェブ会議ツールを使って、記者たちが世界中でごくふつうに暮らす人たちに取材しました。(カバー写真は小寺浩之撮影), おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など